すでに虫歯がある方や、歯の根っこの治療中の方は、できるだけ早く治療を行うべきでしょう。
急に症状が出た場合には、新型コロナウイルスのようなウィルス性疾患が蔓延していたり、インフルエンザなどが流行している時期においては、感染予防を徹底するために、事前に歯医者にお電話でご予約頂きたいと思います。
今回は、歯磨きやフロスなどの基本的なケアに加えて、ご自宅でできる歯のケアやメインテナンスについてご紹介いたします。
(1)歯磨きとフロスを使用した歯のケア方法について
・歯ブラシは、毛先の開いていないものを使いましょう。
ご自宅で使用している歯ブラシをよく見て下さい。
毛先が開いていなくても、使用してから3~4週間経過していれば、新しいものと交換して下さい。歯ブラシのナイロンの毛先が摩耗して、プラーク(歯垢)の除去効率が著しく落ちてしまいます。
・歯ブラシだけでは、歯の汚れを落とすことはできません。デンタルフロスで歯と歯の間のケアをするようにしましょう。
(2)洗口液(マウスウォッシュ)を使いましょう
洗口液には抗菌剤が配合されているものが多いかと思います。
洗口液はお口の中の細菌数を減らすことに効果がありますので、ぜひ積極的にご使用ください。
商品により推奨される使用方法は異なりますので、ご使用になる洗口液の使い方をもう一度確認していただく事をおすすめいたします。
洗口液のピリピリする感覚が苦手な方は、アルコールフリーのものをご使用ください。最近ではマイルドな洗口液も多くなり使いやすくなりました。
ただし、洗口液は歯磨きの代わりにはなりませんのでご注意ください。歯に付いてしまったバイオフィルム(微生物の集合体)は、歯ブラシやフロス等で取り除く必要があります。
あくまでも洗口液はお口の中の細菌数を減らすための補助的な手段です。
(3)禁煙をする
喫煙は、ご存知の通り、全身の健康状態や歯周病の悪化と密接に関係しています。癌や糖尿病、循環器疾患(心臓病や脳卒中)、呼吸器疾患(喘息や肺気腫)などの多くの病気の原因であることは知られていますが、歯周病にも大きな影響を及ぼすだけでなく、歯周病に罹患することによって様々な病気のリスクが上昇します。
また、喫煙者は非喫煙者に比べると3倍歯周病にかかりやすく、2倍歯を失うと言われています。さらに、喫煙は免疫機能にも悪影響を与え、ウィルスなどの病原菌に感染しやすくなります。
新型コロナウイルス等のウィルス性疾患は、50歳以上の方で癌や糖尿病、免疫疾患、心臓病、肺疾患にかかっている人のリスクが高くなることがわかっています。
ぜひ、禁煙されることをお勧めいたします。
(4)キシリトールガムを咬む
キシリトールは糖アルコールの一種で、多くの野菜や果実にも含まれています。
虫歯菌の一種であるミュータンス菌は、食べ物に含まれている糖を取り込み、酸を生成し歯を溶かして虫歯の原因をつくりますが、キシリトールはミュータンス菌が分解できませんので、口の中が酸性化することがありません。
ミュータンス菌が分解できないということは、ミュータンス菌の餌にならないので成長を抑制し減少させることができます。
またキシリトールガムは咬むことで唾液の分泌を促進しますので、酸性化したお口の中を中和させて再石灰化を促進させます。
キシリトールガムには虫歯予防効果があることはよく知られていますが、正しい使用方法をご存知ですか?
キシリトールガムの使用方法は、キシリトール100%のガムを1日3~5回、1回2粒を5分程度咬んで下さい。
食後はもちろん、間食や就寝前にもお勧めします。
コンビニ等で売っているキシリトール配合の商品はキシリトールの含有率が低く、他の甘味料も含まれています。
キシリトール以外の甘味料は酸を発生させる可能性がありますので注意が必要です。
家の中で過ごすことが多い方は、ついついお菓子を食べてしまい、虫歯や体重を心配している方が多くいらっしゃるかと思います。
キシリトールのカロリーはショ糖の4割と低く、インシュリンを必要とせずに血糖値の上昇が穏やかで糖尿病の患者様も比較的安全に摂取することができます。
ついつい食べてしまうお菓子を、キシリトール配合のものに変えることにより、虫歯や体重の心配を少しでも減らせるかもしれません。
かかりつけの歯科医院で相談してみてください。
ただし、これらは歯磨きをしっかり行った上でのお話です。 キシリトールガムを咬んでいるから虫歯にならないということではありませんのでご注意願います。
(5)ご自宅での過ごし方
見落とされがちなお口の健康は、悪い状態のままで放置してしまうと身体全体に悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
今どうしても歯医者に行けない方は、ぜひ今回ご紹介したような自宅でできるデンタルケアを実践して健康維持に努めましょう。
健康を維持するためには、このようなデンタルケアだけでなく、食事や間食の時間を決めて、ながら食いや清涼飲料水、砂糖の入った飲み物の摂取を行わないことも大切です。
歯の痛みがあるなどの緊急性の高い方は、放置せずに早めに歯医者を受診し治療を受けるようにしてください。