唾液のパワー
唾液には重要な役割があります。
お口は細菌やウイルスなどのいろいろ病原微生物が侵入しやすい構造になっています。
そのため、唾液はあらゆる病原微生物に対抗する力を持っています。
♦会話や活舌、嚥下のための潤滑油
口で呼吸をしながら舌を動かして発音し、会話します。
舌がなめらかに動くためには、舌の動きと唾液の流れが重要です。
潤滑油のような唾液が流れることで、会話がスムーズになり、物を飲み込むこともできます。
♦味覚を感じるための溶媒、吐き出すための溶液
味覚は食欲を促進させるだけでなく、口にした物が食べ物として安全なのか毒なのかを判断
する大切な感覚であり反射的なものです。
もしも、唾液がなくなると、味がわからなくなるだけでなく、口に入った毒や異物を吐き出す
こともできなくなります。
♦お口の中の清潔を保つための自浄作用
食後は、舌の上や頬の隙間、歯と歯の間などに食べかすがたくさん残ります。
飲み物を飲んでも、しばらく、舌の上に残ります。
生きていくために飲んだり、食べたりすることは不可欠ですが、そのたびに
口の中は一時的に食べかすや飲み物が残り、不快になると同時に口腔内細菌の
活動性が高まり、不潔になっていきます。
飲食後は特に唾液を出す必要があります。
飲食後は舌の動きを活発にして、唾液の流れを良くし、口腔内を清掃することが大切です。
♦病気に打ち勝つ免疫作用
お口は消化器の始まりであり、直接内臓とつながっています。また、胃につながっている
と同時に、気管や肺にも連絡しています。肺には、全身の臓器から集められた血液が循環し、
病的および生理的代謝産物を排気します。また、鼻やのどとは直接隣接し、目や耳にも
つながっています。会話のときの口呼吸や飲食に伴い、外界のウィルスや細菌が口から
体内へ取り込まれます。花粉や微細な化学物質は口から入ってきます。
ほとんどの病原菌は口から侵入してきます。
こうした病原菌に対して、唾液には抗菌作用を持つ物質が含まれています。
♦細菌の活動を抑える㏗緩衝作用
口腔内の㏗環境を中性に保ち、口腔内細菌の活動を抑え、快適性を維持します。
♦歯の表面の保護とむし歯予防
歯の成分はカルシウム分が多く、酸に対して非常に弱く、口の中が酸性になると
溶け出し、むし歯の原因になります。
食後は口の中が酸性に傾きますが、唾液が中和し酸から歯を守り虫歯を防ぎます。
♦消化作用
唾液に含まれるアミラーゼという酵素がでんぷんを分解して消化を助けます。
♦排泄・解毒作用
有毒物質が口に入ったとき、味覚などに違和感があり、毒であると判断すれば
反射的に唾液が出てきて希釈し吐き出せます。
唾液は生きていくためにとても大切なものです。
口が乾燥する人や唾液の量が少ない人は増やすことを考える必要があります。