歯周病はお口の中だけの病気?
10月半ばが過ぎ、風が冷たく感じるようになってきました。皆様いかがお過ごしでしょうか?インフルエンザの予防接種などを受ける時期になりましたね。
体調を崩しやすい季節の変わり目こそ、お口のケアをおろそかにしてはいけません。実は歯周病は、全身の健康に悪影響を及ぼしてくるのです。
脳や血管など、不調が現れる場所はさまざまです。具体的には、、、
糖尿病・・・歯周病は糖尿病の合併症の一つと言われてきました。実際、糖尿病の人はそうでない人と比較すると、歯肉炎や歯周炎に掛かっている人が多いというデータがあります。また最近では、歯周病になると糖尿病が悪化するという、逆の関係も明らかになってきています。つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼし合っていると考えられるようになってきています。
狭心症、心筋梗塞・・・動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液が行き渡らなくなる病気です。動脈硬化は不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因とされてきましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌因子がク沈殿物がローズアップされるようになってきました。歯周病原因菌などの刺激により、動脈硬化を誘発する物質が出て、血管内に脂肪性の沈殿物ができてきて血液の通り道が細くなります。沈殿物がはがれて血の塊ができると、その場で血管が詰まったり、血管の細いところで詰まったりします。
誤嚥性肺炎・・・誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。普段は誤って気管や肺に異物が入ろうとしても、咳をすることによって守られます。しかし高齢になるとこれらの機能が衰えるため、食べ物などと一緒にお口の中の細菌を飲み込み、その際むせたりすると細菌が気管から肺の中に入ることがあります。その結果、免疫力の衰えた高齢者では誤嚥性肺炎を発症してしまいます。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病原菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のコントロールがとても重要になってきます。
骨粗鬆症・・・閉経後、骨粗鬆症の患者さんにおいて、歯周病が進行しやすい要因として考えられているのが、エストロゲンの欠乏です。エストロゲンの分泌が少なくなると全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。また、歯周ポケット内では炎症を引き起こす物質が作り出され、歯周病の進行が加速すると考えられています。
このように、歯周病はお口の中にとどまらず、様々な全身疾患と関係しています。お口の中を清潔に保つことは、全身の健康を守ることにもつながります。おうちでのセルフケアはもちろん、歯科医院でのメンテナンスも大切になってきます。