舌の役割
皆さんのお口の中にあるもので、一番に思い浮かぶのと言えば「歯」だと思います。
が、健康な毎日を過ごすために欠かせないものとして、実は「舌」も歯と同じくらい
重要な器官になります。
今回はこの「舌」の役割に注目してみたいと思います。
味覚
舌の表面には味覚を感じるための味蕾(みらい)と呼ばれる小器官があります。
味蕾は味細胞の集まりで、甘味・塩味・苦味・酸味の基本味と、うまみを感じることが
できます。これらの味が複雑に混じり合い、人は「おいしさ」を楽しむことができる
ようになります。甘味と塩味は舌先で、苦味は舌の根元、酸味は舌の横で感じられます。
味蕾の大部分は舌にありますが、頬の内側や唇にも点在します。
咀嚼(噛んで細かくすること)と嚥下(飲み下すこと)
食べ物を咀嚼する時、舌は食べ物を上の歯と下の歯の間に移動させ、歯で食べ物を噛み
砕く時には、舌で食べ物を保持します。そして、噛み砕かれて細かくなった食べ物を集
め、反対側の歯に移動させ、再度咀嚼させます。
食べ物が飲み込めるほど十分細かくなると、舌は食べ物を集めて咽頭に送り込みます。
咽頭から食道へ食べ物を送り込むには、舌で押し込むための筋力が必要になります。
咀嚼・嚥下をしやすくするために、食べ物と唾液を混ぜ合わせるのも舌の役割になり
ます。
舌はこのような重要な役割を担っているため、舌の機能が低下すると、食べ物が上手に
食べられなくなってしまいます。これが咀嚼・嚥下機能障害です。
発音
舌は、言葉を発生する際にも重要な役割も担っています。言葉の発生は、肺から押し出
される空気が声帯が狭まることにより振動し、口の中の共鳴によって色々な音に変化され
作られています。舌は、異なった音を発する手助けをするために柔軟に動きます。普段私
たちは、何気なく言葉を発していますが、舌が上手く機能しないと、言葉が上手く出せな
かったり、不明瞭な発音になってしまいます。
歯並び
舌の存在は、歯並びをきれいに保つことにも関わってきます。舌があることにより歯を
内側から支えていますが、その舌が片方に偏っていたり、特定の歯を押すなどの舌癖が
あると歯並びの乱れに繋がります。
また普段舌先は、上の前歯の少し後ろにあるスポットと言われる位置にありますが、
口呼吸や子供の頃の指しゃぶりなどの影響で、舌の位置が下がり、前歯に常に当たって
しまい、飲み込む時に前歯を強く押しすようになり、歯並びが広がってしまったり、前歯
が前方に出てしまう事もあります。
また、舌を動かすことにより唾液もよく分泌することができます。唾液には、食べ物を
飲み込みやすくしたり、感染症を予防したり、その他多くのメリットがあります。
この事を意識して、身体の運動と共に、舌の運動も毎日の習慣として取り入れてみては
いかがでしょうか?