認知症になりたくなければ歯を守りましょう(6)
神経外科医であるワイルダー・ペンヒィールド先生が描いた図で「ホムンクルス図」という図があります。
これは、脳の中で動作を司る「運動野」と、感覚を司る「感覚野」を表しています。
それには、脳が身体のどの部分と密接につながっているかが示されています。
それによると、表面積では身体の1/10もない歯や舌や唇を含む「口」が、脳の中では、運動野と感覚野のそれぞれ1/3を占めています。
口とつながっている顔まで含めると、なんと半分近くを占めているのです。
このことは、歯のケアなどで口を刺激すると、大脳の広い範囲にまで影響が及ぼされることを意味しています。
それにしても、なぜ口は、脳の中でこんなにも広い範囲を占めているのでしょうか?
それは、生命が口に始まり、歯で終わるからです。
私たちがこの世に生まれて、一番初めにすることは、お母さんのお乳を飲むこと。
つまり栄養の摂取です。
そのときの栄養の摂取口が「口」です。
口による栄養の摂取は、生まれてから死ぬまで続きます。
つまり、私たちが生きていくために絶対になくてはならないものだから、脳内の口の領域がこれほどまでに広くなったのです。
極端なことを言えば、手がなくても、足がなくても、生きていくことは可能です。
しかし、歯が無くなり口が使えなくなって栄養の摂取ができなくなったら、生きていけません。
歯が使えなくなったときから、生命の終わりに向かっていきます。
脳の術式を延ばす鍵は、「歯」にあったのです。