認知症になりたくなければ歯を守りましょう(8)
口の中に残っている歯の数と認知症発症率には、関連があります。
東北大学大学院の研究グループが、70歳以上の高齢者を対象に行った調査によると、「脳が健康な人」の歯は平均14.9本でしたが、「認知症の疑いあり」と診断された人はたったの9.4本でした。
(ちなみに、全ての歯があるは28本、親知らずを含めると32本あります)
つまり、残っている歯が少ない人ほど、認知症になりやすいことが明らかになったのです。
昔からの言われている「歯がない人はボケやすい」ということは、科学的に見ても正しかったわけです。
さらに、名古屋大学大学院の上田実教授が行った調査によると、アルツハイマー型認知症の高齢者は、健康な高齢者と比べて、残っている歯の本数が平均して1/3しかなかったと言っています。
また、歯が無いにもかかわらずに入れ歯などの装置を使用していない率が高く、健康な高齢者の半分ほどしかいなかったそうです。
そのうえ、アルツハイマー型認知症の高齢者は、健康な高齢者よりも、20年も早く歯を失っていたことも明らかになりました。
上田教授は、歯が早く失われ、しかも治療もせずに放置しておくと、アルツハイマー型認知症の発症リスクが、健康な人の3倍になると結論づけています。
加えて、この研究では、すでにアルツハイマー型認知症を発症している高齢者に関して、失った歯の本数が多い人ほど脳の萎縮度が高いという画像診断結果が出ました。
つまり、歯がないとアルツハイマー型認知症を発症しやすいだけではなく、進行しやすいことも明らかになったのです。
となれば、私たちがこれからするべきことは明らかです。
歯をしっかり守るような「歯のケア」に取り組めばよいのです。