認知症になりたくなければ歯を守りましょう(10)
今すぐあなたに歯のケアを意識していただきたい理由が、前号までの話の他にもあります。
それは、歯のケア次第では、生涯にかかる医療費が1000万円以上も安くなる可能性があるからです。
日本歯科医師会が、全国の40歳以上、約19000人を対象に行った調査では、残っている歯の数が20本以上ある人は、0~4本の人よりも、年間の医療費が平均で175900円も低いという結果が出ました。
この金額を1日あたりに換算すると、175900円÷365日=約482円となります。
つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けることで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。
ところで、なぜ歯の数で、生涯医療費にこれほどまでに差が出るのでしょうか?
実は、残っている歯の数の多い人は、認知症のリスクが下がるだけでなく、全身疾患のリスクも下がるのです。
大人が歯を失う主な原因である歯周病が、さまざまな病気の発症率を高めていることが、学会などの報告で明らかになっています。
その発症や悪化に、歯周病が関わっていると考えられる主な病気には、
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・誤嚥性肺炎
・糖尿病
・動脈硬化
・脳梗塞
・心筋梗塞
などが挙げられます。
正しい歯のケアを身に付けると、これだけの病気が予防・改善できるわけです。
この先、私たちの寿命は伸び続け、2050年には、日本の100歳以上の人口が100万人を超えると推測されています。
もしあなたが100歳まで生きるとして、そのときに歯が0~4本しか残っていないとしましょう。
先ほどのデータをもとに、歯周病患者が増え始める前に40歳以上から100歳までの60年間分の医療費の差額を計算すると、年間平均医療費175900円×60年=1千55万4000円となります。
つまり、残っている歯が20本以上ある人に比べて、1000万円以上も多く生涯医療費を支払わなければならないことになるのです。 もしこの1000万円を支払わずに済めば、老後のお金の心配はずいぶん減るのではないでしょうか