認知症になりたくなければ歯を守りましょう(18)
口腔内細菌がもたらすさまざまな病気(4)・・・脳卒中
・要介護リスク第1位の「脳卒中」も歯周病がきっかけです
歯周病が引き起こす全身疾患には、「脳血管疾患(脳卒中)」もあります。
脳の血管が詰まったり、切れたりする病気です。
日本歯科大学の菊谷武先生らの報告によると、「脳卒中で入院した患者」、「それ以外の入院患者」、「健康な人」の3つのグループで歯周病検査を行ったところ、脳卒中で入院した患者さんの歯周ポケットが他の2グループよりも深く、歯周病がより重度だったとおっしゃっています。
つまり、歯周病が脳卒中リスクを高めていると考えられているわけです。
なぜ歯周病が脳卒中リスクを高めるのでしょう。
その理由は、やはり炎症物質である「サイトカイン」にあります。
歯周病菌が出す毒素の影響で、歯ぐき付近でサイトカインが作られます。
この炎症物質が血管に入り込んで血流に乗って全身を巡ると、全身の血管内のあちこちで炎症が起こります。
炎症がひどくなると、動脈の内壁が厚く硬くなって、血管が詰まりやすくなったり、切れやすくなったりします。
これがいわゆる「動脈硬化」です。
動脈硬化が進行して脳の血管がボロボロになると、脳卒中が起こりやすくなるのです。
ちなみに、脳の血管が詰まれば「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血すると「脳出血」になります。
これらの脳卒中は、日本人の要介護状態を引き起こす原因の第1位となっています。
脳血管のトラブルから、顔面や手足の麻痺が引き起こされることもあるからです。
日本臨床歯周病学会によりますと、歯周病の人は、そうでない人とくらべて、2.8倍も脳梗塞になりやすいそうです。
歯周病を放置すると、それがきっかけとなって、要介護状態に陥る可能性もあるわけです。