認知症になりたくなければ歯を守りましょう(22)
「歳だから歯が抜けて当たり前」という考えが全身疾患を引き起こす(その1)
「歳をとったら歯が抜けるのは自然だし、当たり前のことじゃないの?」
あなたがもしそう思っているなら、非常に危険です。
これまで繰り返しお話してきたように、歯の根元がグラついて歯が抜けるのは、歯周病にかかっているからなのです。
日本の場合、「歯医者は、歯に痛みが出てから行くところ」「なんかあったら行くところ」という意識が一般に根づいています。
つまり、歯科には「治療」のために通うわけです。
しかし、スウェーデンやアメリカなどの口腔衛生先進国は違います。
歯科受診のメインは、歯のクリーニングや歯磨き指導といったメンテナンスです。
ですから、こうした国の人々は、歯が痛くなくても歯科に行きます。
治療ではなく、「予防」のために行くのです。
この違いが、2012年の厚生労働省国民健康白書統計にある、80歳以上で残っている歯の数の平均本数に反映されています。
〈国名〉 〈平均残存歯数〉
・スウェーデン・・・20本
・アメリカ・・・・・13本
・日本・・・・・・・9.8本
ご覧のように、スウェーデンと日本では倍以上違います。
日本には、「歳をとったら、歯を失うのが当たり前」と思っている人が多いのですが、スウェーデンなどの結果を見れば、歯の予防に取り組むことで、歳をとってもたくさんの歯を残せることがわかります。
日本は世界でも冠たる長寿国であり、2012年の平均寿命は、女性が86.41歳(世界1位)、
男性が79.94歳(世界的5位)でした。
しかし、80歳になったころには平均して10本程度しか歯が残っていないわけです。
歯の健康寿命が、平均寿命に追いついていないと言えるでしょう。
「歳をとったら、歯が抜けるのは当たり前」というこれまでの思い込みをなくして、これからは「歳をとっても、予防をしっかり行っていれば歯は抜けないもの」と、認識を新たにする必要があります。