認知症になりたくなければ歯を守りましょう(25)
脳の老化を防ぐ歯のケア方法・・・・・・その2
ヒトは乳児のときに、「口」から栄養を摂取すること、そして「鼻」で呼吸することを学びます。
「口」は栄養を摂取する器官、「鼻」は呼吸をする器官なのです。
呼吸をするための器官である「鼻」には、外気から身体を守るための機能が備わっています。
例えば、鼻毛や鼻粘膜に生えた線毛などにより、ホコリ,細菌、ウィルス、カビなどをブロックする「空気清浄機機能」などがあります。
一方、栄養を摂取する器官である「口」には、こうした機能がほとんど備わっていません。
そのため、「口呼吸」をすると、ホコリ、細菌、ウィルス、カビなどをそのまま体内に取り込むことになります。
それと同時に、口腔内の乾燥が起こり、その結果、口腔内細菌が大増殖するのです。
さらに近年、「呼吸」と「脳」の関係について、興味深いことが指摘されるようになりました。
2013年に発表された歯科医師である佐野真弘先生らの共同研究の結果から、習慣的に口呼吸をしている人は、鼻呼吸の人に比べて、脳の前頭葉の活動が休まらず慢性的な疲労状態に陥りやすくなることが明らかになったのです。
口呼吸による前頭葉の機能低下は、認知症につながります。
通常、認知症における脳の機能低下は前頭葉から始まって、側頭葉機能の低下を招きます。
現在、日本の認知症患者は462万人いるとされていますが、その前段階の「前頭葉機能低下(早期認知症)」と診断されている方はさらに400万人いると推定されています。
つまり、口呼吸を続けていると、認知症予備軍になる可能性が高いのです。
では、「口呼吸」をやめて、「鼻呼吸」に戻すには、どうしたらよいのでしょうか?
ずれている舌の位置を、本来の位置に戻す。
たったこれだけでよいのです。
舌先が正しい位置に収まると、自然と鼻呼吸になります。
口呼吸になっている人は、舌ポジションを正してみてください。
自然と唇が閉じて、鼻で呼吸をしていることがわかるはずです。
日頃から意識して、舌の位置を気を付けるだけで、舌ポジションは本来の位置に収まるように、自然と改善されていきます。
1日に何度か舌ポジションを意識する。
それをしばらく続けるだけで、舌ポジションは正しい位置に戻り、口腔内細菌の異常な増殖に歯止めをかけることができます。