大きなむし歯になってしまっても患者さんは、なるべく痛くないように、なるべく削らないようにしてほしいというのが本音だと思います。
私たち歯科医も同じ想いをいだいています。
しかしながら現実は、むし歯がある以上、治療のためにはむし歯になっている悪いところをすべて削り取ってしまうのが、今、現在の保険治療のやり方です。
もちろん、市名坂歯科医院でも、そういう保険のむし歯治療も行っています。
むし歯というのは、むし歯菌が感染して起こる病気です。
感染した悪いところをすべて削り取るという治療よりも、感染病なので削らないで内科的にお薬でむし歯が治れば楽でいいと思いませんか?
そのような夢のようなお薬が「ドックスベストセメント」なのです。
このドックスベストセメントは、むし歯をすべて削り取るのではなく、むし歯を少し残したまま、むし歯菌を殺菌して無毒化し、柔らかくなったむし歯をミネラルで硬く自然治癒させてしまうお薬なのです。
お薬といっても強い抗生物質とはちがって、銅イオンを主成分とした弱い殺菌力が半永久的に発揮される治療ですので、アレルギーの心配はなく、からだにやさしいお薬なのです。
(銅イオンというのは、人間の血液中にも含まれているミネラルのうちのひとつです)
しかも、このドックスベストセメントは、むし歯が治るだけでなく、再発まで予防してくれる夢のような優れ物のお薬なのです。
(1)
歯の神経の近くまで進行した大きなむし歯があります。
通常の治療方法では歯の神経を取らなければならないようなケースです。
(2)
むし歯をある程度取り除き、深いところ(下の方)のむし歯はわざと残します。
(3)
むし歯の上にドックスベストセメントを置きセメントでフタをします。
(4)
セメントの上に詰め物を入れて治療は終わりとなります。
この「ドックスベストセメント療法」は、2011年3月にTBS「これが世界のスーパードクター!第14弾 削らない、痛くないむし歯治療!むし歯を殺菌ドックスベストセメント」で放送されました。
この番組に出演された小峰一雄先生は、日本で最初にドックスベストセメント療法を始めた歯科医師です。
市名坂歯科医院の院長である私も、小峰先生の特別研修を2年程前に受講し、それ以来小峰先生にいろいろと指導をいただきながら、ドックスベストセメント療法を取り入れてきました。
ドックスベストセメント療法はまだ歴史が浅く、はっきりとしたエビデンスは確立されてはいませんが、今までの歯科界の常識を180度的にひっくりかえすような夢のようなお薬だと私は信じて疑いません。
これからもいろいろと研鑚を積んで、多くの患者さんに「ドックスベストセメント療法」を体験していただき、そして喜んでいただければと思っています。